就職活動を行うのは健常人だけではありません。
障がいを持った人もたくさんいるんです!!
全国には障がいを抱えて生活をしている方はたくさんいます。
国の支援を得る、あるいはご家族の支援により生活を送る人が
いる一方で、「社会に交わりたい!!」「外部の人と関わりたい!!」
「仕事をして自分の役割が欲しい!!」
障がいを抱えた方でこう感じる人は数多くいるのではないでしょうか?
今回は『障がい者が就職する時のポイントと注意点』
というテーマで話したいと思います。
障がいを抱えた方、あるいはそのご家族はもちろんですが
健常人の方も1つ知識として読んでもらえると嬉しいです。
合わせて読んで欲しい、就労移行支援サービスについて下記のリンクから読めます。
障がい者が就職するのが難しい理由
一般的に障がい者が就職するのは難しいと言われています。
では、難しい理由は何かまとめていきます。
大きく分けて、障がい者が抱える問題と企業側が抱える問題と
二つに分類して説明したいと思います。
障がい者が抱える問題
まとめると上記の内容となります。
1つずつ解説しています。
自分の障がいを理解していない、伝えられない
障がい者にとって自分ができないこと、辛いこと、逆にできることを
『理解する』『伝えることができる』
ことはとても重要なことです。
理由は企業側もどんな仕事を頼んでいいのか、ダメなのか分からないからです。
『自分ができないこと』『辛いこと』が相手に伝わらず
仕事として渡されると混乱を招きますし、仕事に行きたくない
という感情に悩まされてしまいます。
自分が何ができて、できないのかをしっかり伝えるチカラが必要です。
自分では気づけない部分も多いですからご家族等、第三者から見て
どんな時に混乱してしまうか、得意な作業は何か、まとめると良いでしょう。
スキル不足、マナー不足
企業によっては今まで経験したことない仕事も多く存在します。
加えて、社会に出て働くということは、当然、ビジネスマナーも
求められてしまいます。
自分に足りないスキル、マナー等は自分で学んでいくしかありません。
後ほど記載しますが、教育環境を確立していない企業側にも問題は
大いにあります!!
しかし、自分で学んでいかなければ、どうしても身に付かない部分もあります。
大変ではありますが、自分の能力を上げる作業と思い
スキルアップやマナー等の知識を身に着けていきましょう。
健康管理がうまくできない
人によっては治療中という方も多くいると思います。
その中で体調が変動してしまう人も多いようです。
健康管理は自分で管理しなければいけない部分となります。
といっても、体調を崩すのは致し方ないというのは事実です。
体調不良になりたくて、なるわけではありません!!
必要なことは『どんな時に体調を崩しやすいか』
『どんな時に体調が良いか』把握することです。
に繋がりますが、自分の状況を伝えることで相手にどんな時
休みを取りやすいか把握してもらうことが可能です。
急遽の休みより、事前に準備もできますから、分かる範囲で
企業側に伝えてみましょう。
企業が抱える問題
企業が抱える問題としては上記の内容となります。
1つ解説していきます。
現場の教育不足
職場ではマニュアルや仕事をこなしていく中で
業務を覚えてもらうことが一般的でしょう。
しかし、障がい者にとって、一般的なことが困難となり得ることもあります。
教え方、伝え方、期間など、企業側が配慮する点はたくさんあります。
職場で障がい者が無理せず、働くには『教育体制をしっかり考えること』
『仕事量の調整や仕事内容をしっかり分けること』が大切です。
職場の中で教育分野に特化した部署を作ってもらうくらいが
丁度良いのではと私自身は考えます。
環境設備が不十分
環境設備の不十分さも問題の1つです。教育体制も環境設備の1つと
いえるでしょう。業務指導する体制が整っていない、相談できる人
がいないという環境は企業が抱える問題です。
他にも業務内容の分担や仕事内容の充実しているか
ココがポイントになってきます。
人によって適材適所が違う中、業務内容が1つしかない環境では
当然、負担に感じる人も出てきます。
『働ける環境』と『相談できる環境』を作っていくことも企業側の問題と
なってきます。
どんな仕事を任せるか考えられない
障がい者にとって一番負担な部分は、できること、できないことが
しっかりあることです。慣らすことで克服できる人もいますが
できないことを仕事として渡されてもストレスやパニックを招くだけ
になってしまいます。
企業側はどんな人にどんな仕事を任せられるのか見極めるスキルが必要です。
単に作業量が少ない仕事を渡すだけでは見極めたことになりません。
『障がいについて良く知る』『苦手な内容が何か把握する』この2つをしっかり
学んでこそ、見極めるスキルが身に付くと考えます。
企業側が配慮するだけで障がい者にとっては大きな環境変化になります。
障がい者が就職する時の注意点
障がい者にとって、就職するのが難しい理由をまとめてきました。
ここでは障がい者にとって就職する時の注意点をまとめます。
注意点といっても全員が当てはまるわけではなく、個人によって
加えて、企業によって内容は違います。
全てを鵜呑みせず、1つの情報として見て欲しいと思います。
①給料が比較的低い
平成30年度の障害者雇用実態調査の結果から平均賃金を見ると
障がい者雇用の賃金は以下の通りとなります。
身体障害者:21万5千円
知的障害者:11万7千円
精神障害者:12万5千円
発達障害者:12万7千円
一般雇用:約36万8千円
一般雇用と給与の差は生まれてしまいます。理由としては
雇用形態の違いや労働時間(週所定労働時間)の違いから
生じるものと考えられます。
②求人の雇用数が少ない
障害者雇用促進法に定められる「障害者雇用率制度」により
従業員45.5人以上雇用している民間企業では1人以上の
障害者を雇用しなければいけません。
この為、「障害者雇用枠」として事業主は障がい者を雇用する
採用枠を設けています。
しかし、制度上で雇用枠を設けていたとしても一般雇用と比較すると
障害者雇用の雇用数は圧倒的に少ないのが現状です。
働きたい企業はあるが、雇用枠がいっぱいになっている。
そんな経験をする可能性も十分あります。
平成30年4月より障害者の法定雇用率が引き上げになりましたが
それでも、法定雇用率は2.2%~2.5%という数値です。
【参考:厚生労働省「障害者雇用率制度」】
③求人の種類が少ない
一般雇用と違い、障害者雇用は決まった職種を行うことが多いです。
企業によって異なりますが、身体障害者では事務的業務が
知的障害者は生産工程が一番多く携わっている仕事のようです。
仕事の種類に関していえば、雇用者の心身機能やスキルなどにも
依存する部分である為、一概には言えませんが
一般雇用と違い、自分でやりたいことを仕事とするのは
厳しいのが現状といえるでしょう。
オープン就労とクローズ就労
就職の中には、障がいがあることを企業へ伝えた上で就職する
オープン就労と企業には障がいを伝えず、就職する
クローズ就労があります。
それぞれ、メリット・デメリットがある為、まとめていきます。
オープン就労について
- 勤務形態や残業など、企業側に時間の融通が利きやすい
- 拡大読書器やスクリーンリーダー等、支援機器が使用できる
- 通院や服薬スケジュールを企業側が考慮してくれる
- 現場教育や業務マニュアルが雇用者に合わせてくれる
- 職種が限られてしまう
- 給料が比較的低い
- 障がいがあることを知られてしまう
- 責任ある仕事が回ってこない
クローズ就労について
- 正社員の求人が多い
- 職種の選択肢が多い
- オープン就労よりも給料が高い
- 責任あるポジションや仕事に就くことができる
- 勤務時間や残業など、時間の融通が利かない
- 通院や服薬スケジュールを企業側が考慮できない
- 障がいが社員にバレる可能性に不安を感じる
- ノルマ設定をされる等、配慮が得られにくい
メリット・デメリットは人によって異なりますし
全員が同じ条件というわけではありません。
心身に負担とならないのは、どちらなのか
自分が希望している就業体制、職種は何なのか
折り合いをつけながら決めていくことが最良といえるでしょう。
社会の現状と今後の展開
障害者雇用率制度の導入に加え、企業側の受け入れ態勢
も相まって、障がい者の雇用率は上昇傾向にあります。
しかし、『職種が限られる』『給料が安い』といった
制限を受けるのも現状です。
障害者雇用率制度は今後も改定していく可能性がありますし
障がい者にとって働きやすい環境も徐々に整っていくと思います。
一方で障がいに対して理解が得られない人が一定数いるの事実です。
より障がい者にとって働きやすい環境や職業を提供する企業が
増えていくとともに、理解する人が増えていくことが
今後、必要になると思います。